業界歴30年のテレビ番組ディレクターが教える動画制作の編集テクニック 編集作業の前に必要なこと

編集素材を揃える

動画の企画を考え、シナリオを作成し、それに沿って撮影が終わり、いざ動画編集を始めるといっても、パソコンで編集する場合には、準備が必要です。もちろん、編集ソフトをどれにするかは決まっていて、すでにパソコンにインストールしていたとしても、準備はそれだけではありません。まず、撮影データを整理しなければなりません。デスクトップにそのまま置いておくだけでは、後で編集がしにくいです。フォルダを作成して、シナリオのシーンごとに動画を整理して入れておく。また、パソコンのデスクトップに撮影データを整理しておくのではなく、ハードディスクやUSBを準備し、その中に入れておくと良いでしょう。自分のパソコン以外で作業をしなければならない時に持ち運びができるし、データがいっぱいになって、パソコンの作業速度が遅くなることもありません。資料映像などを使う場合は、それも事前に準備しておいた方が作業が滞りなく進みます。

BGMの選曲

素材が揃ったら、BGMの選曲を行います。予算が潤沢にあって、選曲作業を外注できれば良いですが、このブログを読む人は基本的にご自身で全ての作業を行う方ばかりだと思います。BGMは原則、著作権フリーのものを使用し、(BGM 著作権フリー 無料で検索すると色々なサイトが出てきます。使用する場合は、そのホームページにある使用上の注意をよく読んで確認してから使用するようにしてください。)そのサイトの中から、1曲1曲試聴し、選んでいきます。著作権フリーの曲の場合、どうしても、あまり特徴のない曲が多いですが、逆にあまり特徴的な曲を使用してしまうと、音楽が目立ってしまって、動画で伝えたいことが伝わらなくなってしまいます。特徴のない曲の中でも、イメージに合っているものを数曲選んでダウンロードしておくと良いです。選曲するときは、使いたい曲数より、多めにダウンロードしておいたほうがいいです。というのも、実際編集して、音楽を当ててみると、「あれ?イメージと違う」という曲が出てきます。予備の曲を選んでおいた方が良いです。

効果音の選定

続いて、効果音を選びます。効果音は、特にテロップの動きに合わせてつけたり、演者の動作に合わせてつける場合があります。その目的は、音で印象付けることです。テロップにつけるのであれば、テロップを印象付ける、強調する。演者の動きにつけるのであれば、演者の動きを印象付ける、強調するということです。どんな効果音を付けたいかは、あらかじめ考えておいた方が良いです。自分がイメージしている、お手本となりうる動画をよく見て研究し、どんな効果音が効果的かをよく考えてから使いましょう。また効果音のサイト(著作権フリーで無料で一番有名なサイトは「効果音ラボ」というサイトです。)を一度訪問し、どんな効果音があるのかを試聴するのも一つの手かもしれません。

複数のカメラを使ったら段積み作業

もし、複数台のカメラで撮影した場合は、編集の時に一手間かかります。それは、段積み作業と呼ばれる、映像と音声をタイムラインに合わせる作業です。この作業をするために、撮影時に一般的に行うのが、カチンコを使ってヨーイ!スタート!の掛け声で、カメラの前で手を叩くことです。この手の動きとパン!という音の波を各動画ごとに揃えると、複数のカメラを使って編集しても、映像と音声がずれずに編集できるのです。また編集ソフトでは、マルチカメラ編集と呼ばれる、カメラを切り替えをワンタッチでできる機能も付いています。いずれにしても少し難しいテクニックになります。始めたばかりの初心者の方は、あまりやらない方が良いかもしれません。

執筆者プロフィール

小笠原剛。日本テレビ系の番組制作会社に勤務。日本テレビの数々の番組を担当したのち、渡米。アメリカで3年間、MLB、NBA、NFLなどのディレクター業務を行った後、帰国。帰国後は、フリーランスとして、民放各局でテレビ番組を制作。2019年には、ストリートアカデミーというサイトを通じて「動画制作・動画編集・YouTube関連を教える仕事」を始める。2023年3月に株式会社いのししを設立。現在に至る。2024年8月に書籍「動画プロモーション入門」を出版。ご質問などは、公式LINEより、お気軽にメッセージをお送りください。

友だち追加