業界歴30年のテレビ番組ディレクターが教える動画制作のシナリオの作り方 シナリオの考え方

プロがやっている発想法

では具体的にシナリオを作成する際の考え方について説明していきます。私の場合は、まず企画に沿って、大まかなストーリーを考えます。視聴者を飽きさせない内容、動画の長さ、どういう映像が興味を持ってもらえるかなどを箇条書きにしていきます。その際に意識することは、視聴者、つまり見ている人が楽しめるか、参考になるか、面白いか、そういう要素がきちんと入っているかです。もちろん、企業関連の動画では、その企業が紹介しなければならない内容に沿って動画制作をするため、あまり視聴者の興味を引く内容にならないこともあります。しかし、より多くの人に伝えるのであれば、やはり、専門的な内容よりは、誰にでもわかりやすい動画の方が良いと思います。

研究の重要性

動画のシナリオを作る上で大切なことは、研究です。これは、企業であれば、同業他社の動画だし、個人のYouTubeであれば、同じジャンルの動画になります。企画のところでも説明しましたが、同業他社や同じジャンルの他の人の動画を注意深く見て、研究し、参考になるところは取り入れていくことは非常に大切です。また、YouTubeなどのSNSであれば、どのぐらいの結果が見込まれるかも想定できます。シナリオの部分で参考にするのは、どういうシーンを撮影しているか、話の流れはどういう展開なのか、興味ある内容でまとまっているかなどです。他の人がやっていないような唯一無二の内容を考えるにしても、他の人の動画は非常に参考になります。色々な動画をみて、発想を膨らませていきましょう。

テーマをはっきりさせよう

最終的にシナリオで重要なのは、テーマです。その動画はどういうテーマなのかが伝わる内容でなくてはいけません。例えば、「美味しいリンゴ」の動画を制作するとします。その場合、一番見せたいのは、美味しいリンゴをきれいにカットした部分です。それが一番最初にくると視聴者は「美味しいそうなリンゴだ」と思うわけです。次に、そのリンゴを食べる人がいて、その人が「美味しい」と一言言うと見ている人も食べたくなります。でその後に、どういう場所でそのリンゴを育てているのか、その産地の様子や、生産者さんはどんな人なのか、実際にどういう風に育てているのかを映像で紹介すると、さらに「美味しいリンゴ」の説得力が増していくわけです。

執筆者プロフィール

小笠原剛。日本テレビ系の番組制作会社に勤務。日本テレビの数々の番組を担当したのち、渡米。アメリカで3年間、MLB、NBA、NFLなどのディレクター業務を行った後、帰国。帰国後は、フリーランスとして、民放各局でテレビ番組を制作。2019年には、ストリートアカデミーというサイトを通じて「動画制作・動画編集・YouTube関連を教える仕事」を始める。2023年3月に株式会社いのししを設立。現在に至る。2024年8月に書籍「動画プロモーション入門」を出版。ご質問などは、公式LINEより、お気軽にメッセージをお送りください。

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